こたに医院 | 日記 | 映画「ステキな金縛り」

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こたに医院 の日記

映画「ステキな金縛り」

2011.12.03


三谷幸喜様

遅くなって、ごめんなさい。
やっと、あなたの話題の新作「ステキな金縛り」
を見ました。
自分的には、とっても、気に入っています。
見た後の、満ち足りた思いは、格別でした。

特に、痛々しいくらい、真面目に、役に取り組んで
いる、主演の深津絵里さんが、いいですね。
彼女がいてこそ、全体が締まっていて。
以前の「悪人」での、捨て身の演技も最高でしたが
彼女の場合、最新作がいつも、ベストの伸びしろが
あって、楽しみ、楽しみ。
特に、初め、ドタバタ、unmature(未成熟)でドジ
な弁護士が、西田敏行さんが、勝手なノリで、落ち
武者の幽霊の更科六兵衛との関わり合いの中で
成長し、亡き父親との交流を果たしていく過程が
涙ものです。
役の中でも、僭越ですが、役者さんとしても、映画の
中で、成長してく、みたいな。

上司の弁護士役の、阿部寛さんも、相手の検事役、
中井貴一さんも、微妙な線で踏み留まり、ブレずに
不思議な演技でよかったなあ。
あと、特に、郷土史研究者の浅野忠信さんもよかった
けど、牛乳瓶の底みたいな、眼鏡で、目の表情が
伺えず、残念。
それにしても、適材適所。
六兵衛の幽霊の出る旅館のおかみの戸田恵子さん、
髪型が重要な伏線のタクシー運転手役、生瀬勝久さん、
あと、佐藤浩市さんに至っては、前作「マジックアワー」
の延長線も感じるくらい。
一言で言えば、マスコミの表現通り「三谷ワールド」。

しっかり、ドタバタしてて、ハリウッド映画の大発明である
slapstick comedy(スラップスティック喜劇)の伝統を
踏まえていて、いいですね。
まさに、チャップリンやキートン映画に連なっていく作品群
です。
以前、テレビの生放送で明石家さんまさんと共演してはった
のを、偶然、拝見しましたが、あなたの「バナナの皮の滑り
方が下手や」とか言ってる、さんまさんが、あなたのお芝居
に付いて来れてなかったのが、残念でした。
芝居一つ、演技者の持ち前のキャラクター以上の発展でき
ないでいる「吉本新喜劇」の、安定感はあっても、刺激の
ないのに対して、あなたの場合、役者の持っている、これまで、
雰囲気やイメージ作りにあくせくしてきた、まさにその部分を
破壊してしまうのです。
実に、冷徹に、クール、クール。
だから、マンネリズム(惰性)とは無縁です。
その点では、これまでの日本の喜劇作家ではなかった
ことで、うれしくて、うれしくて。
また、それに、十二分に答えることのできる俳優さんたちが
こんなに出揃って、日本の映画・演劇界は、今こそ、豊穣な
季節です。

どうか、このまま、映画も、お芝居も、どんどん、作り続けて
ください。
あなたと、宮藤官九郎さんは、現在の日本の宝ですから。
(なんて、言われたら、よほど、くすぐったいでしょうね。)

いい映画やいいお芝居、って、それだけでも「ああ、生きてて
よかったあ」って、思わせてくれて、生きるための、次の元気
を与えてくれるもんですから。

では、お元気で、したたかに。

                         こたに やすし

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