こたに医院 | 日記 | 「日差し」と「陽射し」

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こたに医院 の日記

「日差し」と「陽射し」

2011.09.08


パソコンの文字変換って、不思議です。
第一、難しすぎて、書いたこともない漢字だって、
簡単に「書けて」しまうのです。

学生時代、アメリカの友人と、海辺にピクニック
に出かけたときに尋ねられたことがあります。
「日本人は、一体、いくつの文字を学んで、使うの?」
英語では、アルファベットが26文字。
大文字と小文字を合わせても、52文字。
じゃあ、日本語は?
彼の聞きたかったのは、自分たちが、学校で勉強
する文字の数。
まず、平仮名 rounded broken letters が
51文字。次に、片仮名 angular piece letters が
51文字。あと、漢字 chinese characters は、・・・
無数 infinitely。
そう答えた時の彼のびっくりした顔を、まだ覚えて
います。
「そんな数の文字をどうやって、覚えるの?」
「平仮名や片仮名は、全部、覚えるし、日常的に使う
けど、漢字は、全部なんて到底、無理。知っているだけ。」
そう言った時のけげんな顔も。

この日本語の文字の数は、その多さそのものが理解
不能でしょう。
特に、たった52文字で、済ませている、ほとんどの欧米
の母国語の話し手 native speaker には。
でも、実際には、そんなに無数の漢字を操っている訳
ではありませんけどね。

興味深いことに、その漢字発祥の地、中国では、国民の
識字率(文字を知っている人の割合)を上げるために、
信じられないくらいの「漢字の簡略化」を実施しています。
ですから自分達が中国に行っても逆に読めないのです。

そんな状況の中で、ワープロ(ワードプロセッサー word
processor)やPCの文字変換が、みんなの意識を変え
ました。
中でも、漢字については「完全に」書けなくても、「大体」
こんなかなと「選べたら」十分なのです。
(ちなみに、欧米で、必要なワープロ機能は、当然、文字
変換が主ではありません。かつてのタイプライターみたい
に、紙に固定する前に、字体の種類や大きさを選んだり、
レイアウト (layout 割付)を自由にすることが目的なのです。)

そして、文字変換は、進化をして行きます。
同じ読み、同じ音の言葉であっても、漢字の使い方や選び
方に、その人の感性が反映して。
以前、もらったメールの中で、光の「ひざし」という変換を
「日差し」ではなく「陽射し」を選んでもらっていました。
自分の中では「日差し」は、太陽の光線の角度によって、
その光が当たるかどうか、測定してるような響き。
それに対して「陽射し」は、太陽の温度を感じさせるような
自分の肌に当たっているような響きの違いがあります。
そのメールをくれた人の感性が感じられました。

自分のブログでも「ひと」について、書いていて、生物学的
に考えているなら「ヒト」、社会との関係なら「人」、こころの
問題なら「ひと」を選びたいです。
「ひとびと」も統計的な数を問題にしているなら「人々」だし
生きている人たちのことなら「人びと」の字面がいいかな。
自分一人の、ただの思い込みですが。

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