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こたに医院 の日記

TATTOO のこと。

2011.07.31


以前、救急の仕事中に、よく、TATTOOした
人を、見かけましたっけ?
和彫り、洋物、筋彫り(事情があって、輪郭
だけで終わっているもの)。
いろいろ。

洋物は、外国や、最近では日本の国内にも
増えてきた、まさに「TATTOO SHOP」で
入れるもので、使う絵の具が特徴で、多くが
化学合成された、アクリル染料です。
器械彫りがほとんどで、アクセサリー感覚で
入れる人も多いようです。
色は鮮やかですが、紫外線に弱く、自然界の
鉱物を用いる「岩絵の具」ほどは安定して
いません。
現代美術でも、よく用いられるアクリル染料
は、特に、絵画の変色の原因になっています。
また、レーザー治療でTATTOOを消したいとき
皮膚の下のアクリル染料は、脱色せずに、ただ
変色するだけだったりして、困ります。
ピアスやネックレスほど、カンタンじゃないのです。

和彫りは、値も張り、思いつきやアクセサリー感覚
で入れたりできないでしょう。
やはり、いわゆるヤクザ、暴力団関係者が多いよう
です。
背中だけのものから、背中から肩口のもの、もっと
広く、臀部から、大腿までのもの。
さまざまです。
図柄は、竜や虎、有名な「唐獅子」。
時々、中国の「水滸伝」の登場人物や、日本の英雄。
これは、自然界の染料で、レーザー治療で分解でき
ますが、手彫りの特性で、染料の入れ方の深さの
ばらつきがあって、工夫が必要です。

他にも、いくつか、思い出すTATTOOがあります。
一つは、アメリカで映画の仕事をしている、マイケル
のおじいちゃんのTATTOO。
学生の頃、ニューヨークでマイケルがおじいいちゃん
のうちに遊びに行くとき、連れて行ってもらったのです
が、左の前腕に、星型の中に、8、9桁の数字。
おじいちゃんが、旧ソ連に住んでいた若いころ、強制
的に、第一次大戦に徴兵されたときに「ユダヤ人兵」
の印に打たれた登録番号の刻印だそうでした。
あまり知られていませんが、旧ソ連で、ユダヤ人は
ヒトラーのナチ政権と変わらない扱いを、第一次大戦
から、受けていたのです。
そして、実際に見たわけではありませんが、ナチの
収容所に入れられるときに刻印される、ユダヤ人の
登録番号のTATTOOや、対するナチの親衛隊(SS)
の兵士の胸に刻まれた、受傷時の「輸血優先」の表示
のTATTOOもあります。

一時、レーザー治療の治療のできる病院の仕事をして
いたとき、高校中退の女の子が、フェルトペン(商品名は
「マジックインク」のこと)と、安全ピンを使って、授業中に
入れた、手の甲の「彼氏の名前」を、別れたから、消したい
っていうこともあったっけ?
これからは、恋人ができる度に体に名前を彫り込まなくて
いいから、って言っていました。

懐かしくて、微笑ましいTATTOO 「刺青(いれずみ・
しせい)」の思い出もあります。
医学部に入る前、高校を中退して、ジャズのドラマーに
なりたくて、東京にいたとき、風呂もトイレも付いてない
部屋に住んでいました。
ですから、銭湯に行っていたのですが、その近所の銭湯
で、いつも、一緒になる、おとなしいおじいちゃんがいて、
その背中に「般若(怨念のこもった、二本の角のある女
の顔)」のTATTOOが彫ってありました。
若い頃は、結構、強(こわ)いおにいさんだったのかも、
知れませんが、静かな、おとなしいおじいちゃんでした。
そして、その怒りの「般若」が、おじいちゃんの背中の
皮膚のたるみのおかげでいつも、気弱そうに笑っている
のです。
風呂上りなら、ほんのり、赤らんで。
おじいちゃんのかつての人生と、今の人生、それぞれに
思いを馳せる瞬間でした。
結局、一度も、口をきいたこともありませんが。

TATTOO.
刺青。
その人、その人の思いや人生を表しているのですね。
よくも悪くも。

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