こたに医院 | 日記 | 企業の論理と経済の空洞化。

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こたに医院 の日記

企業の論理と経済の空洞化。

2011.08.13


救急や整形外科の外来に欠かせない、
骨折や捻挫の患者さんに用いている、
オルソグラスOrtho-glassという固定
材があります。
何のことはない、ただのフェルトの布
を二つ折にして、間にキャスト(ギプス
のこと)を数枚重ねたのが挟んである
だけのものですが、これが、なかなか
便利で、後発品もありますが、使い勝手
のよさでは、群を抜いています。
「これは、ぶきっちょなアメリカのドクター
のために作られたんや」とか言いながら
使っていますが。
オルソグラスが発売される前はというと
自分で、巻いてあるプラスティックキャスト
を重ね合わせて、板状にして、骨折部に
あてていました。
器用な日本のドクターは大抵そうして
いたのです。

で、骨折した中高生くらいの人にオルソ
グラス当てながら、質問します。
「これは、アメリカの会社が、メキシコの
工場で作っているんやけど、そんなこと
してたら、何が起こると思う?」
難しい質問でしょう?
でも、彼らは、骨折の痛みもこらえて、
結構、真剣に考えようとしてくれます。
「分からへん?ほな、なんで、アメリカ
国内やのおて、メキシコで作るんやと
思う?」
3分の1くらいの子が、「人件費が安い
から」って、答えてくれます。
「けど、工場で働く人に払うお給料が
安いからゆうて、そんなことばかりして
たら、何が起こると思う?」
どの子も首を傾げます。
当たり前でしょう、こんな問題、考えた
こともないやろし。
で、自分が言います。
「そしたら、アメリカ国内で仕事が無くな
って、アメリカで働く人たちのお金がなく
なるし、どんなに安いものを作っても、みな
買えなくならへん?」
中高生たちの柔らか頭は、すっと理解して
うなずいてくれます。
自分はさらに続けます。
「で、アメリカは、働く人に払う人件費が
どんなに安くなるゆうても、海外ばっかり
で、ものを作ってたら、やっぱり限界がある
ということに、ようやく気づいてきたんや。
けどなあ、まだ、この日本の人は、安い
人手でもの作りすることばかりで、国が
やせていくこと、気にせえへんねん。」

凄まじい勢いで、円高が進んでいます。
先日は、優良であるはずの「フランス
国債の格下げ」というデマまで飛び出し
結果、やはり、円が買われたり。
円や、日本そのものの内容にプラスの
材料がある訳でなく、ドルやユーロが
嫌われて、相対的に円が買われている
だけなのです。
政府・日銀の為替介入も「焼け石に水」
状態ですし、G7の財務相・中央銀行総裁
の緊急電話会議もただのデモンストレー
ション以上の効果はありませんでした。
これ以上の「歴史的円高」は、輸出を中心
にした産業の存続に関わる危機的状況です。

そして、多くの企業はかつてのように人件費
の安さを求めてだけでなく、電力問題や円高
差益の活路を求めて海外移転を始めています。
街の中小企業でさえも東南アジアを始め海外に
工場移転を考えるグローバリゼーションの嵐
が吹き荒れています。

けれども、中高生にも分かる、この「日本経済
の空洞化」どうしましょうか?
日本という大きな「帳簿」など眼中になく、一会社
の小さな「帳簿」しか、考えてない「企業の論理」。
それって、雪印牛乳の不祥事から始まった
ひな壇に並んで、社長以下、首を揃えて、一斉
に頭を下げる、あの光景。
そして、JR事故でも、原発事故でも、トップの
首の付け替えだけで、責任を取ったみたいに
考えている「企業の論理」と同じですよね。
自分たちだけの「一人よがり」でしょ?

この国、日本の空洞化が進んで、空っぽに
なるまで、分かってもらえないんでしょうかね?


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