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こたに医院 の日記

風が吹けば、

2011.08.18


「風が吹けば桶屋が儲かる」って、ご存知?
もともと、古いことわざだったのでしょうか、
落語少年だった自分としては、「寿限無
(じゅげむ)」の名前と並んで、学校の勉強、
放り出して、覚えたものです。
別に、他の誰に言って聞かしたわけでも
ありませんが。

大した話じゃありませんが、つまり、こんなです。

① 風が吹けば、砂ぼこりが立つ。
② 砂ぼこりで、目を傷めて、盲人(視覚
   障害者)が増える。
③ 盲人の仕事は(江戸時代なら)あんま
   さんか、三味線弾きくらいです。
④ 三味線の材料は、猫のお腹の皮。
⑤ 猫を獲ると、ネズミが増える。
⑦ ネズミが増えると、風呂桶をかじる。
⑧ 風呂桶に穴が開くから、桶屋さんが
   忙しくなって、儲かる。

といった具合です。
こじつけの「名作」で、ま、へりくつの代名詞みたい
になっています。

また「バタフライ効果」という有名な言葉もあります。
これは、エドワード・ローレンツという気象学者
が1972年に行った、有名な講義「ブラジルの蝶の
はばたきはテキサスでトルネード(竜巻)を引き
起こすか?」からきていて、気象などを扱う際に
有用な「カオス理論」の代表例として、よく引用され
ます。
これは、へりくつではなくて、言わば「曖昧さ」を扱う
理論である「カオス Chaos 理論」の話。
つまり、通常の自然現象では、初期の誤差は、現象の
経過の中で、無視できるほど、原因と結果は予測が
ほぼ可能な因果関係に結びつけられているものです。
けれども、天候や経済のような不確定要素の多い、
「カオス系」と呼ばれる対象では、含まれる要素の
初期の状態の微小変動が、結果的に、大きな変化を
もたらすという理論です。
また、ローレンツは「カモメの1回の羽ばたきが天候の
状態を未来にわたって、変えてしまう」ことも、カオス
理論ではあり得るとしています。

ニュートン力学の一つの功績の一つであり、ニュートン
自身の天才の現れが、現象の本質を把握した「単純化」
にあると思います。
つまり、ニュートン力学で論じられている「質点」とは、
質量だけがあって、大きさのない点のような「存在」なの
です。
事象Aと、時間的に後の事象Bの因果関係については、
可能な限り、単純化が許されます。
ですから、楕円形のラグビーボールや棍棒様のものを
投げたときのように、回転したり、空気抵抗を受けたりする
ようなエネルギーの無駄は無視していいことになっているの
です。
けれども「カオス系」では、含まれる要素の変化は、爆発とか
して、決定的な変化のない限り、無視できません。
対象の単純化、誤差の無視は許されない系なのです。

面白いですね。
「ブラジルの蝶」なんて。
心情的には、美しくて、大好きです。
「風が吹けば桶屋が儲かる」なんて話を思いついた人の
本心には、そんな「カオス系」の予感みたいなものがあった
のかも知れませんね。


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