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こたに医院 の日記

偽医師事件。

2011.08.19


震災の被災地、宮城県石巻市で、仮設診療所
を作って、診察をしていた男性が、実は、医師
免許がなく、いわゆる「偽医師」なのではないかと
いう事件があります。
その男性の話では、カナダの医師免許は
持ってるとか言ってましたが、実は、カナダ
から、ボランティアで被災地に入った医師の
名刺をもとに、偽造したものでした。。
結局、「医師法」上、無免許で逮捕され
ましたが、大判振る舞いの「日本財団」
(旧日本船舶振興会)から、なぜか、100
万円の補助金の交付を受けていたみたい
で、その点、詐欺罪まで適用されてしまいま
した。
そんな話を聞いて、いくつか思い出したこと
がありました。

まず、医学部の学生時代、すでにお亡くなり
になった法医学の教授が、学生に向かって
いつも、言ってはったこと。
「君たちは医師免許というものを何だと思って
いるのか?」
当然、学生は誰一人答えられません。
「もし、一人の患者さんがいて、その患者さん
に注射しても、診療行為として、その患者さん
の同意のもとに、やったのなら、当然の行為
として、何の罪にも問われないでしょう。
ところが、同じ患者さんに、帰り道、路上で
出会い、いきなり、ブスリと注射針を刺したら
それは、傷害罪。
つまり、医師免許ってある一定の条件のもと
であれば、繰り返し傷害行為をしても、免責
されるという免許にすぎないのです。」
なるほど、と勉強嫌いな医学生たちは大いに
納得したのでした。

そして、2年くらい前、見た映画のこと
 
自分の敬愛する監督の一人、西川美和さん
の「ディア・ドクター」です。
主演は、笑福亭鶴瓶で、偽医者の演技が
絶妙でした。
不思議なことに、自分の知っている「偽医者
事件」で、多くの場合、他の「ホンモノ」の医者
より、よく診てくれると評判がいいのです。
まさに、鶴瓶の医者もそうで、医学生が研修
に来て「先生みたいな医者になりたい」って
言われて「何も知らんくせに」とか、怒り出す
のです。
西川さんは、他の作品。例えば「ゆれる」でも
自分の作品を映画の公開前後にノヴェライズ
(小説化)して、発表しますが、それぞれ、補い
あって、それは面白いのです。
小説「ディア・ドクター」では、映画で鶴瓶の演じ
た男がなぜ「偽医者」になったかを、きっちり、
書いてはります。

けど、なんで、そんな「偽医者」が出てくんねん?
そう思わはる人も多いでしょうが、その一つの
原因が、明治から、今も続く、医師免許の形式
もあります。
このあたり、石巻市の「偽医者」も十分研究して
なかったようですが、日本の(実は、最近まで、
欧米も)医師免許証は、写真もなく、ただの「表彰
状」みたいなものなんです。
アーヴィングの小説「サイダーハウスルール」にも
その話が出てきます。
ですから、偽造やコピーで通れば、誰がその本人
なのか、その医師免許証がホンモノなのか、分か
りません。
米国では、最近になって、運転免許証みたいなの
持ち歩けるようになりましたが、日本は「表彰状」の
ままです。
その上、医師免許証の番号も、毎日、使っている
ものではありません。
ですから、たとえば、欧米に向かう飛行機の中で
「医師の方はいませんか?」とか、キャビンアテン
ダントが探していたりするとき、自分は4回くらい
応じましたが、診療後「医師免許番号は?」とか
聞かれて「あれ、何番だっけ?」とか、恥をかいて
います。

とか、こんな、ノンキなこと、考えていました。
それにしても、石巻市の米田さん、なぜ、こんなこと
したんでしょう?
早く、その動機が知りたいのですが。

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