こたに医院 | 日記 | 映画「ツリー・オブ・ライフ」

「なんだか、しんどい」「少し、休みたい」そんなときの「街の保健室」です。

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こたに医院 の日記

映画「ツリー・オブ・ライフ」

2011.08.21



決して、見やすい映画ではありません。
長くて、くたびれてしまっても当然でしょう。
けれども、見終わったとき、映画の家族と
一緒に観客の自分も光に包まれ救われて
いるのです。
不思議な、映画「ツリー・オブ・ライフ」
「天国の日々」の監督、テレンス・マリックの
作品です。

宇宙や生命の根源まで、さかのぼる「長い
時間」とブラッド・ピットを父親にする一家族
の「短い時間」の対比は、初めは、めまいも
してしまうくらいですが、いつか、その豊かな
世界に身を委ねて、気持ちいいのです。
けれども、「短い時間」の家族の長男ジャック
は、苦しんでいます。
成功を望んでいながら、成就できないで、
家族を力で支配することだけになってしまって
いる父親との軋轢、「父さんなんか死んでしま
えばいい」思い続ける長男、父親に可愛がら
れる次男の弟への嫉妬、そして、やり場のない
幼い「性の衝動」
どれも、自分にとっても、他人事ではなくて、
身に沁みます。
けれども、やさしい母親の面影や母親への憧れ
に、独占欲の甘美なこと。
そして、友だちとの悪戯や、さらに「悪への衝動」
の痛いくらいの生々しさ。
もしかしたら、マリック監督は、この宇宙のすべて
を、表現してしまったのかも、知れません。

それにしても、人生のすべてに失敗し、住み慣れた
家も売って、引越して行く時間の中で、父親が、
子どもたちだけには成功してほしくて、あんなに
厳しくしていたと、告げられた子どもたちの涙、
心細そうな表情の表現は秀逸です。
胸が詰まる思いがして。

そして、大人になった長男ジャック。
説明はありませんが、自分の場所も持って、父親
と異なり、それなりに、成功した様子です。
映画の流れとしては、挿入される家族の風景が
懐かしさや喪失感と混ぜこぜに再生されます。
明るい海辺で、皆と再会して、微笑み合い、抱き
合う瞬間、救われた思いがして。

自分も、14才で父親を亡くすまで、決して、父親が
好きではなかったのを思い出しました。
どうも、父親と息子というものは、噛み付き合って
血みどろになるくらいの関係なのでしょう。
いつしか、父親の死んだ年齢も超えてしまいました。
あの人は、一体、何を考え、何を求めて生きていた
のだろうか、以前はよく考えたものです。
何の手がかりもなく。
彼岸、あるいは、三途の川の渡し場?
そこで、再会できたら、互いに許しあって、抱き合え
たりできるのでしょうか?
40代で逝った、自分の父親と。
だったら、いいのですけれど。

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