こたに医院 | 日記 | 麻酔のこと。(その1)

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こたに医院 の日記

麻酔のこと。(その1)

2011.08.31


1945年、いわゆる戦後の医学で、進歩した点
は、突き詰めれば、2点です。
一つは、ペニシリンから始まった、抗菌剤の開発。
もう一つが、人工呼吸器を含む麻酔の発展です。

その麻酔のことを、少し考えてみましょう。
100年以上前に、オーストリアのウイーンで考え
られて、現在でもなお用いられている胃を切除した
あとの再建法に「ビルロート法(Ⅰ型とⅡ型)」が
あります。
このビルロート医師が、胃の手術を考えたとき、
当然ですが、今の全身麻酔はありませんでした。
伝わっている話では、当時、局所麻酔しかなか
ったとのことです。
ですから、局所麻酔で、皮膚の表面を麻酔した
後、現在の全身麻酔では得られる、腹部の「筋
弛緩」もなく、チカラ持ちの助手が手術の際に
腹部の術創を開いていたのでしょう。
信じられないことです。

その後使われたのがテレビドラマ「JIN-仁ー」
でも、行われていた「エーテル麻酔」でした。
ただ、これは、使う薬剤の量の加減も難しいし、
麻酔の深さの調節ができません。
特に、呼吸の管理ができません。

その中で、考えられたのが、人工呼吸器です。
正常な呼吸は、横隔膜の上下と胸の容積の
増減から、作り出される「胸腔(肺の入っている
空間)」の陰圧で、大気が押し込んで来るのを
利用しています。
20世紀初め、ベルギーでボツリヌス菌感染が
流行したとき、特有の「筋弛緩」のため、自発
呼吸ができない子どもの患者さんのために、
使われたのが「鉄の肺」という胸を覆う、大きな
箱で、この箱の中の圧力を。加減して、空気を
吸い込む装置でした。
これは、器械が大がかりになることと、胸と箱
との気密性を作り出すのがむずかしいことから
限界がありました。
「胸腔陰圧」の限界でした。

そうして、現在の「気道陽圧」への転換には、自分
にとって、わくわくするようなエピソードがあります。
第2次大戦中、ロンドンを襲う、ドイツの戦闘機や
ロケットと戦っていた一人の英国空軍のパイロット
(彼の名はBird 鳥といったらしいですが?)が、
彼は「気管支喘息」の持病を持っていたと言われて
います。
その彼の乗っていた戦闘機がスピットファイアー
という名機で、急降下や急上昇の性能が優れていて
スクランブル発進をする際、度々、喘息の発作に
苦しんだとのことです。
そこで、彼は、パイロット席のマスクに陽圧をかけ
その発作の予防に成功したのです。
それで、戦後、「気道陽圧」の人工呼吸器が開発
されたとの話、気に入っているのですが、本当で
しょうか?

                      (続く)

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