こたに医院 | 日記 | 麻酔のこと。(その2)

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こたに医院 の日記

麻酔のこと。(その2)

2011.09.01

  実際の現場では、麻酔の必要性、効果の時間
範囲から、麻酔の方法を決めます。
一番、シンプルな「局所麻酔」は、体表~口腔、
肛門くらいまでの縫合や切開処置。
局所麻酔剤を、たいてい、注射して、その部位の
神経の働きを一時的に麻痺させます。
特に、指の怪我などには、直接患部でなく、より
体に近い部分の神経に注射する「浸潤麻酔」と
いう方法があります。
「浸潤麻酔」には、腕の付け根に、ターニケットと
いうベルト、駆血帯を巻いて、麻酔剤が血流に乗り
全身に効いたりしないようにして、腕の手術や処置
の間に、自発呼吸や意識を保ったままにしておく
方法もあります。

広範囲でより深く、ただし、下腹部や下肢の病変
の手術や処置に限定される場合、虫垂炎やソケイ
部のヘルニア(いわゆる「脱腸」)股関節や膝の手術
で、自発呼吸を保ったまま、または、気管挿管後の
「術後肺炎」などを極力避けたい場合には、意識を
保ったまま、背中から注射する「腰椎麻酔」を使い
ます。
ただし、この手術が、下腹部以上の高さである場合
は、呼吸を抑制してしまうため、初めから、意識を
奪って、呼吸を止めてしまい、呼吸管理をった方が
安全です。

呼吸が止まるくらい深く、意識を失うくらいの麻酔で
あっても、時間的に短時間で十分な場合、上肢や肩
の処置、例えば肩関節の脱臼の整復などには、点滴
を利用して、麻酔剤を注射する「静脈麻酔」もあります。
効き目を判断するのに、ご本人に、大きな声で、100
から、逆に、99、98...と数を数えてもらったりします。
数を数える声が途絶えたり、でたらめな数を口にしたり
したら、麻酔が効いていると判断します。

そして、最も深く、長時間の手術に耐える麻酔が「全身
麻酔」です。
意識を失わせ、自発呼吸を止めてしまうために、気管
挿管して「気道陽圧」によって、体外から、酸素や麻酔
ガスを送り込みます。
結局、痛みに対する鎮痛作用と、意識や呼吸を抑えて
しまえば十分ですから、強い麻薬と精神安定剤を静脈
注射をすればいい訳で、そんな麻酔方法もあります。

その中で、より特殊な麻酔方法として、心臓を止める
必要がある場合「人工心肺」という装置を用いる方法も
あります。
管を使って、体外に出た血液に、器械で酸素を加えて、
肺の代わりをして、あと、ローラーを回して、心臓の代わり
をして、体内に戻すわけです。
心臓移植を含むあらゆる心臓や肺の手術に使える方法
です。

と、ここまで、書いてみると、気づかないうちに、こんな
麻酔方法から、何か一つを選択しているんですね。
麻酔科のドクターやME(メディカル・エンジニア)その他
たくさんのパラメディカルの皆さんとチームを組んで、
手術にあたるのが、今の外科で、チーム医療なのです。

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