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こたに医院 の日記

お薬の通り道~内服。

2011.09.19


最も、親しまれている投薬方法の一つが、
内服でしょう。
中国発祥の「漢方医療」でも、さらに、中世
を通して、生薬治療を主にしてきた中東、
欧州の医療でも、内服は重要な投薬方法
でした。

消化器の疾患以外、全身のあらゆる疾患に
対して、内服は有効です。
かつては植物の葉や花を与える生薬を用いて
いました。
たとえば、ジギタリス。
ジギタリスって、何って、診察室や救急室で、
若いドクターやナースに尋ねると、強心剤と
答えます。
確かに、そう分類されますが、たとえば、心房
細動の場合、心房の細動(1分あたり100~
200の震え)が、そのまま、心室に伝わらない
ようにする、いわば、フィルターの役目をします。
心拍が200近くであると、心臓のポンプ機能が
失われてしまうのです。
そのジギタリスは、もともと植物で和名のキツネ
ノテブクロは英名foxgloveの訳です。
その葉を患者さんに噛ませると、強心作用が
あり、18世紀末以来、うっ血性心不全の患者
さんに用いられました。
今では化学合成され注射薬もありますが、内服
も、使われています。

内服には、注射のように、手段の違いはあまり
なくて、強いて言うなら、舌下投与くらいでしょうか?
これは、通常の内服が、薬物が口に入って、食道
胃を通って、腸まで運ばれて、ようやく、血中に吸収
されるために、時には1時間ちかくかかるため、その
時間の短縮を図ったものです。
多くは、錠剤を溶けるまで、口の中、舌の下に含んで
もらって、直接血中に吸収させるというやり方で、非常
に有効です。
もっともよく使われていて、有名なのが狭心症の場合
のニトログリセリン。
よく、あわてて、ごくりと飲み込んでしまいますが、その
場合は、落ち着いて、もう1錠、舌の下に含んでもらい
ます。
他にも、時には精神安定剤や高血圧時の血管拡張剤
も、舌下投与することがあります。

その他の内服は、基本的に、食事に合わせて、食前、
食後、食間の投与になります。
この「食間」を「食事の間」つまり、食事中と勘違いする
患者さんも、昔はありましたが、今は笑い話ですね。
「食前」では、糖尿病の内服が多く、あと、骨粗鬆症の
お薬は「起床時」つまり「朝食前」多量の水と、という
特に、注意付きの特徴があります。
この骨粗鬆症の薬は、進化を続け、発売当初は、毎朝
でしたが、今は週1回が標準、最近は4週間、1ヶ月に
1回まで来ました。
ただ、飲む側の患者さんにとっては、飲み忘れの問題も
出てきていますが。

このように、どれだけの間隔で何回飲むか、が内服の
基本になります。
これは、ほとんどの場合、どの程度の血中濃度を維持
するかに関わります。
「分3毎食後」とか、「分2朝夕食後」とか、処方の時に
決めるのです。

それ以外だと「頓服」になります。
この「頓服」は、一定の条件付けをして患者さんの判断
で、服用してもらう投与法です。
「発熱時」とか、「頭痛時」とか。
お薬の量を減らして、不要の薬をなくせるため、自分は
度々、使う方法ですが、患者さんに、十分説明しておく
必要があります。

内服、お薬の飲み方にも、工夫ができるのです。
それこそ「匙加減」で。
そこが、医者の腕の見せ場、やり甲斐だと思うのですが
どうでしょうか?

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