こたに医院 | 日記 | 正常性バイアスと愛他行動。

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こたに医院 の日記

正常性バイアスと愛他行動。

2011.10.02


東日本大震災、そして、津波からもうすぐ
7ヶ月になります。
ようやく、冷静に、何が起こったのか、何が
間違っていたのか、を問いかけ、考えよう
とする気持ちになってきました。

その中で、いくつか、気になる言葉があり
ました。
その一つが「正常性バイアス」です。
これは、災害や異常時、人びとが、十分な
警戒や避難もせずに、どうにかして、自身の
置かれた状況を「いつもと変わらない、安全
で正常な状態」であると信じようとしてしまう
傾向のことです。
今回の震災、さらに、続く津波の被害者の
相当数が、自宅や自動車の中で亡くなって
いる事実からも、その傾向が根強いもので
あることが分ります。
地震から、津波まで、避難に十分の時間が
あったにも関わらず自宅に留まり、調査では
地震の後始末をしていた人も多かったようです。
これは、医療の世界、自分たちの回りで考えて
みても、起こり得ることです。
患者さんも、医者をはじめとして、医療者全般
いつもと違う状態が起こりつつあるとき、その
「違う点」でなく、いつもと「同じ点」にすがろう
とするのです。
具合の悪い患者さんが、医者に向かって「先生
だいじょうぶですやろ?」と何度も繰り返し、医者
の「だいじょうぶ。」の一言を言わせたいと思って
いるのは、いつも、体験することです。

そして、もう1点が、いわゆる「愛他行動」です。
これは、他の人を助けようとする、すばらしいこと
ですが、状況として可能であるか、何を犠牲
にしているか、にも因るでしょう。
今回の震災・津波でも近所に住む独居の年配
者を避難させようとして、何人もの人が犠牲に
なりました。
年配の方の中には、避難を拒否する人もいて、
説得に手間取ったりして、地震から津波までの
時間が失われたりしました。
そして、他人を助けようとした、すべての人びと
も、安全に避難できたらいいのですが、実際には
犠牲になった人も多かったのです。
災害時の個人行動の指針として、やはり「まず、
自身が助かるとう、逃げられる人が逃げること」
という基本原則は重要です。

こまかい点ですが、一つ一つ、気をつけていく
べき問題なのです。



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