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こたに医院 の日記

「BSE」

2011.10.17


ヒトが感染する病原体には、さまざまなもの
があります。
形の大きい順に考えてみると、まず、回虫や
サナダムシのような寄生虫。
これは、独立した生物で、雌雄同体の場合も
ありますが、卵を産んで、体内で成長してという
一生のサイクルがあり、回虫のように、肺などに
迷入することや、肝吸虫みたいに肝硬変の原因
になるなど、多様な病原性があります。

次は、細菌。
以前は、黴菌(バイキン)と呼ばれていましたが
当用漢字から、外れて、細菌と呼ばれるように
なりました。
この細菌も、細胞として、独立した生命で、細胞
分裂して、増えていきます。
核があり、細胞内器官があります。
増殖して体積を増し、周囲の臓器を傷める結核菌
や、肺胞を充満してガス交換を妨げる肺炎の細菌
以外、細菌によっては、O-157のヴェロ毒素が
腎障害を起こすように毒素の分泌が、病気の原因
になるのです。
1945年にノーベル医学生理学賞を受賞したフレ
ミングの「ペニシリン」から始まった抗生物質は基本
的にこの細菌の細胞膜の形成を邪魔して、細胞分裂
を妨げる働きがあります。

次が、ウィルス。
これは、細胞ではなく、核を持ちません。
基本的には、中にアンコが入って、外を皮でくるんだ
お饅頭のようなものです。
このアンコが、RNAやDNAの遺伝子の切れ端で、
周りの皮がそのウィルス特有の蛋白です。
この遺伝子は、核もないため、自前で増やすことは
できず、他の生物の細胞に間借りするように増えて
間借りしていた細胞を破壊して、外に出て行くのです。
この遺伝子の間借りが、生物の進化に寄与してきた
のだという説も有力です。
病気の話に戻せば、この遺伝子が「病気」の情報を
運んでいるのです。

細菌とウィルスの間に、マイコプラズマという病原体が
あって、細胞はありますが、細胞膜のない構造になって
います。
この春以来、患者さんの多かった「マイコプラズマ肺炎」
などを引き起こします。

と、かつての微生物の教科書は、ここまでだったのです
が、そこに、プリオンprion というものが出現しました。
かつては「transmissble agents(透過性病原体)」と
呼ばれ、漉し出されて、素焼きのかめの外に漏れ出る
不思議なものと考えられていました。
すでに、ウィルスではありません。
例えば、scrapie スクレイピー という羊の病気で、羊が
けいれんや四肢のマヒや歩行不能などの脳症状を起こし
死んで行きました。
似た病気が、サルの脳を食べる一定の地域の原住民にも
見られ、この種族は、しきたりで、村の誰かが死んだとき、
霊を引き継ぐため、死んだヒトの脳も取り出して、村中の
住民が食べるそうです。
その風土病の症状は、自分たちの医療の中で、クロイツ
フェルト=ヤコブ病に類似しています。

もともと、草食性の牛のエサに、羊の肉や骨を混ぜて、
食べさせたら、効率よく、牛肉が「生産」できるだろうと
いう「利益至上主義」が自然の摂理に逆らって、大問題
が起こりました。
それが「狂牛病」です。
病死した羊の脳や脊髄神経も、一緒に肉骨粉にして
しまっているのです。
1990年には、世界で169人の方が亡くなりました。

日本では、人体の影響は確認されてませんが、2001年
千葉県内で、BSE(Bovine spongiform encephalo
pathy 「牛海綿状脳症」)「狂牛病」の牛が発見されました。
そして、その中で、アメリカ産牛肉の輸入が禁止されました。
その、世界一厳しい検査基準を設け制限していた日本
政府が、米国産牛の輸入の緩和に言及しています。

これまでの経過で、今後、だいじょうぶだという保証も
できてはいません。
自分たちは、一体、何を手がかりに、このBSE感染の予防
したら、いいのでしょう?

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