こたに医院 | 日記 | チェット・ベーカーに憧れて。

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こたに医院 の日記

チェット・ベーカーに憧れて。

2011.10.20


秋が深まってくると、いえ、実は根暗の自分に
とって、いつも聞きたいヴォーカルがあります。
チェット・ベーカーというトランペッターでヴォー
カリストの、中でも「マイ・ファニー・ヴァレンタイ
ン」という曲です。
自分のクリニックにお越しになった方は、皆、
お聞きになっていて、ああ、あれ、と分かって
いただけるはずです。
これまで、名前をご存知なくても。

22才で、アルト・サックスの天才、チャーリー・
パーカーに認められ彼のバンドにも在籍。
トランペッターとしての活動以上に、彼が光り
輝いたのは、あの甘い歌声でした。
つぶやくような声は、ささやきのようで、ブラジ
ルのボサ・ノヴァの創始者の一人、ジョアン・
ジルベルトにも大きな影響を与えたと言われて
います。
耳元でささやくような声は、男の自分でも、ゾク
ゾクッとします。
1950年代、20代の頃は、まさに彼の時代で
した。
当然のように、女性ファンも多く、あとは、酒と
ドラッグ、そして、喧嘩三昧。
ついに、1970年には、ドラッグ絡みの喧嘩で
トランペットの命の歯を折られてしまい、ミュー
ジシャンとしては仕事ができなくなって、一時は
生活保護を受けたり、ガソリンスタンドで働い
たりしていたらしいのです。

1973年には、同じトランペッターのディジー・
ガレスピーの助けもあって、復帰し、1975年
には、他のジャズマン同様、ヨーロッパに活動
の拠点を移しています。
そんなチェットを主人公にしたドキュメンタリー
映画があります。
1988年の作品。
カルバン・クラインやアバ・クロの写真を撮った
ファッション・フォトグラファーのブルース・ウェ
ーバーが監督した「Let's get lost(自分が訳
すと「迷子になろうぜ」かな?)」です。
実は、この映画には、特に思い入れがあって。
ベルリン映画祭出品だったのですが、そのとき
ちょうど、ベルリンにいたので、見たかったので
すが、チケットは売り切れ。
で、劇場に行って、この映画を見るため、はる
ばる、日本から来たのに、とか言うと、やさしい
ドイツのお兄さんが、分かったと。
で、他の観客が入場したあと、行けと。
一応、入場料を払おうという仕草をしたら、笑っ
て手を振って「いらへん。いらへん。」
ええお兄さんやったなあ。
で、映画は、すっかり、気に入って、他の評論
家っぽい、エラそうな先生たちが退場したあと
も、一人で「ブラヴォー!」
映画館内でカメラを回していた、その映画の
スタッフも急いでかけつけ自分にインタビュー
し始める始末。
でも、最高によかったのは事実。
一言で言うと、破滅型の酔っ払いの物語。
でも、本当は、少女のように繊細で、さびしがり
で、ガラスみたいに壊れやすいのです。
その矛盾だらけの生涯。
自分が景気づけに、知ってる単語を総動員し
てほめちぎった勢いでアカデミー賞のドキュメ
ンタリー部門でノミネイトされたんちゃうかなあ
なんて、本気で思ってたりしていました。

その、肝心のチェット・べーカーですが、1988
年5月13日、映画の封切り直前、アムステル
ダムのホテルの窓から、転落死しました。
本格的な再起を目前にした、58才の死。
原因は、不明です。
最後まで、破滅型のチェットでした。
天国では、やっぱり、酒と麻薬で夭折した
、あの「バード」チャーリー・パーカーと連夜
セッションしていることでしょう。
聞きたいもんですね。

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