こたに医院 | 日記 | 「杞憂」

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こたに医院 の日記

「杞憂」

2011.10.22


「杞憂(きゆう」って、ことばがあります。
もともと、中国のことわざ。
中国の古代の話で、杞(き)の国の人が
天が崩れ落ちてくるのでは心配していた
という故事から、取り越し苦労、心配する
必要のないことをあれこれ心配すること、
やや揶揄し、嘲ることばです。

でも、本当に空から物が落ちてくるのです。
もちろん、この銀河系の内外から、隕石とか
いつ、降ってきても、不思議はありません。
けれど、もっと近く、地球の上空から廃棄した
人工衛星や、その破片が落ちてくるのです。
今回は、1990年に打ち上げられ、1999年
まで運用された、ドイツのX線観測衛星
「ROSAT」でもともと、2.4トンの衛星のかなり
の部分は、大気圏再突入の熱で燃え尽きますが、
残り1.7トンは地表に落下、もっとも大きな固まり
は、1.6トンの望遠鏡の残骸だとか?

21日から、24日の間に、地球のかなりの範囲に
落ちる可能性があるとのことです。
人に当たる確率は、計算の根拠は不明ですが、
2000回落ちて、1回とか?
それって、結構大きな確率なんじゃないのかなあ、
なんて、思っているのは自分だけ?

実は、こんな「宇宙ゴミ」(スペース・デブリ space
debris)はかなりの量、地球の周りに漂っている
らしいのです。
1957年10月、旧ソ連が打ち上げた、人類初の人工
衛星「スプートニク1号」(総重量 約83kg)以来、公表
されているだけでも、約4000回以上の打ち上げが
行われて、試算上でも、約4500トン以上の「宇宙ゴミ」
が、地球の近くを漂っているのです。
使われなくなったり、壊れた人工衛星やそれらが衝突
した破片、打ち上げロケットや多段ロケットの残骸、あと
宇宙飛行士が落とした工具やら、中には、手袋まで。
軌道という考え方、高校の物理でも、出て来ましたが、
も一度整理すると、物体をより早くより遠くに打ち出すと
だんだん、遠くまで、到達しますが、さらに早く、遠く、
打ち出すと、もう地上には落ちなくて「落ち続ける」こと
から、地球の周りを回り続けることになります。
これが、周回軌道で、それぞれ、必要な速度が違います。
たとえば、地上300~450kmの高度なら秒速7-8キロ
(って、すごい!時速2万5200キロ-2万8800キロ!)
運動エネルギーは、速度の2乗に比例するから、5mm位
の「宇宙ゴミ」に衝突するだけで、大砲に撃たれるくらいの
損傷を被るようです。

この根底には、これまで人類の歴史の中で、かなり、適当
に扱われ、放置されてきた「ゴミ」「廃棄物」の考え方があり
ます。
物を持つという「所有権」には、自由に処分するという「処分
権」や「廃棄権」すべてが内包されていると思っていた誤解
です。
それほど、ごく最近まであらゆる物は捨てられることなく
「財産」として護られてきました。
この20世紀からの「使い捨て文明」の前。
けれども、案外、手狭な、この「宇宙船地球号」
ゴミの捨て方、捨て場は、そう、カンタンな話じゃありません
でした。
それは、現在を生きる、自分たちが、身に沁みて実感して
いるとおりです。

1950年から、宇宙開発競争は、東西で「鉄のカーテン」を
挟んで、過熱しました。
宇宙や人工衛星の、軍事利用が進んだからです。
統計にはない、ロケットの打ち上げも行われたことでしょう。
そうして、地球近くの宇宙は、ゴミだらけ。
中には、意図的にばら撒いたゴミもあります。
1963年に、アメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)に
よって、人工的な電離層(電波が反射する宇宙の反射
層で、長距離無線を可能にしている)を作るために、2cm
の銅製の針を、3500キロの高さに、4億8000万個も撒き
散らして、国際的な批判を浴びたのも、その一例です。
確かに、1960年代、家庭で、ゴミのリサイクルや分別なんて
考えられなかったですもんね。
仕方がないと言えば、仕方ないのでしょうか?
問題は、これからの宇宙。
そして、残された「宇宙ゴミ」の始末。

それにしても、今回のドイツの人工衛星は、どこに落ちるの
でしょうか?


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