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こたに医院 の日記

被災地ボランティア。

2011.11.06


大学生が、被災地にボランティアに行って
大学を欠席した場合、そのボランティアを
授業として認めるか、あるいは、大学での
単位を付与するかという調査結果が発表
になりました。
今回の調査は、全国83校の国立大学に
関する、毎日新聞のアンケート結果ですが
東北3県、岩手大、東北大、福島大を含む
32校で、39%でした。
大半が、事前講義、30~60時間のボラン
ティア、事後レポートで、1~2単位を与える
というものです。
4月に、文部科学省が、ボランティア活動を
授業の一環として認めるように通知して、
後押ししたものの、年度末でもあり、徹底でき
なかった様子です。
けれども、大学によっては、本来「無償行為」
であるべき、ボランティアに単位を付与するの
は、ふさわしくないとする大学もあり、対応に
隔たりがあります。

「ボランティア」という呼称は、阪神淡路大震災
後から、社会にも浸透し、一般の方々にも、当り
前のことばになりました。
好意や善意の表われ、の意味だけが、一人歩き
していますが、本来の意味やあるべき内容は、
もう少し、重いのです。
日本語では、新しいもの、逆に、十分、こなれて
いないものは、そおっと、カタカナ語のままにして
おくというワザがあります。
「ボランティア」が英語のvolunteerの本来の意味
は、戦争などで、自ら戦場に行く「志願兵」です。
けれども、戦場では、徴兵されて来た兵士と志願兵
を分けることはありません。
「志願兵」であっても、脱走すれば、厳罰に科せられ
ます。
被災地でも、本来、そうあるべきでしょう。
被災された住民の方々にとっては、救助活動は生存
関わる部分ですから。
もちろん、すべての学生ボランティアがそうだとは決して
言いませんが、気まぐれなボランティアに左右されては
ならないのです。
実際、今回の震災・津波では、特に、医療ボランティアが
阪神淡路大震災でも多くの症例があった「クラッシュ(圧挫)
症候群」対策をして被災地入りしたものの、神戸周辺のよう
な都市型症例は少なく、むしろ、元来、高齢化の進んだ地域
の「慢性疾患」症例が多かったため十分に機能せずに早々
に離脱したことが問題となっています。
もっと、腰の据わった、長時間の医療チーム活動が必要
だったというレポートが、いくつかの医療チームから出されて
います。
本来の病院勤務などを一時、他のドクターやナースに肩
代わりしてもらって、被災地の医療活動のボランティアに
出向いた訳ですから、決して「気まぐれ」だなどと申し上げ
ている訳ではありませんが、分野によっては、相当の長
期間の活動を必然的に求められるのです。

そういった状況で、もう一度、学生ボランティアについて、
考えてみると、高々60時間、1日12時間としても5日間、
ボランティア活動しても、現場としては、ようやく、こなれて
きたくらいで、結局「お客さん」扱い以上にはなり得ないと
思われますが、考えすぎでしょうか?
それでも、学生自身にとっては、教育的な価値があると
評価するべきなのでしょうか?
出されたレポートの評価や、ボランティア体験者たちを
受け止める皿が大学にあるのでしょうか?
「善意行為」として、大学が安易にほめるだけだったり、
企業が就活で評価の対象にしたりしなかったり。
そういった風に扱われないか、心配です。

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