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こたに医院 の日記

皆既月食。

2011.12.11


昨夜、12月11日の夜11時過ぎから、今日
の12日、1時過ぎまで、太陽・地球・月が、
一直線上に並び、地球の影が月の表面を
覆う、皆既月食が、全国で観測されました。
晴天の夜空だったため、たくさんの人が見た
ことでしょう。

けれども、悲しい出来事もありました。
夜11時10分頃、兵庫県加西市の県道で、
月食を見に行った帰り道、小学校6年生と
2年生の兄弟が、軽トラックにはねられて、
亡くなったのです。
兄弟は、夜中の天体観測に心を奪われて、
夢中になっておしゃべりしていたことでしょう。
お兄ちゃんが、弟に、いろいろ教えていたの
かも、知れません。
太陽系のこと、地球や他の惑星、そして、地球
自体も24時間かけて、自転していて、朝や夜が
できて、その地球をまわる月のこと。
想像しても、楽しげな、美しい光景です。
けれども、そんな楽しい夜、楽しい時間が、二人
の最後の思い出になったのです。
その瞬間、胸いっぱいの「なぜ?」を残して、二人
は旅立ったのです。
「なぜ、僕たちは、死んでしまうの?」
「なぜ、もっと生きて、不思議な面白いことを見たり
聞いたり、できないの?」
「なぜ、こんなに、痛いの?」
悲しい、悲しい、悲しいできごとです。
世の中に、神様や仏様がいたはったら、どうして
こんなむごいことをされるのか、許すのか、聞いて
みたいくらいです。

子どもが死ぬのって、どうして、こんなにつらいの
でしょう?
医学部の学生時代、卒業したら、体験できない
アルバイトをしようと、募集もしていない業界に
自分から、電話して、使ってもらいました。
下水の整備が進んでなかった時代ですから、糞尿
処理の浄化槽の点検や糞尿回収のバキュームカー
の運転手、あと、葬儀屋さん。
どれも、時給がよくて、助かりましたが、葬儀屋さん
でも、子どものお葬式の仕事はつらくて。
子どもの亡くなるのがつらくて、小児科を断念した
のは、事実です。
後日、小児科医になった同級生に「子どものお葬式
の仕事がつらくて、小児科、行かんかってん」って
言ったら、殴り飛ばされました。
「だから、自分たちは、(子どもを救うために)小児科
やってるんやんか」って。
彼は、今、すばらしい小児科医として活躍しています。
だから、小児科を選ぶ彼がいて、だから、小児科に行け
なかった自分がいてても、ええやんか。
そんな訳の分からない言い訳をしていた自分のこと、
覚えています。

それにしても、子どもが死ぬのが、こんなにつらいのは
どうしてでしょう?
この将来どれだけの可能性を残して逝ってしまうから?
子どもの親の気持ちを思いやって?

仏教では、親より先に死ぬことは「逆縁(ぎゃくえん)」と
言って、最悪の親不孝とされます。
京都のお葬式では、親は子どもの火葬の焼き場には、
行ってはいけないことになっています。
選んで死んでく「自殺」とかの場合でなければ、子どもを
責めることはできないはずだのに。

最後に、この皆既月食の夜、旅立った、二人の子どもの
名前を書き留めておきます。
どうか、一度、声に出して、読んであげてください。
この二人とは、加西市立北条小学校6年生生田敦弘君
(12才)と弟で2年生の汰成君(8才)です。
心から、ご冥福を祈ります。
あの世で、兄弟そろって、楽しい小学校に通えますように。

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