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こたに医院 の日記

マラリアとHIV。

2011.12.23


この1年、さまざまなことがありました。
東日本の震災・津波・原発事故。
近畿地方の豪雨災害。
「中東の春」
タイの洪水。
そして、来年まで、尾を引くだろう、欧州
の信用不安。

確かに、つらい、悲しい1年でしたが、科学の
分野では、うれしくなる話も多かったのです。

日本の宇宙探査機「はやぶさ」は、劇映画まで
作られ、まるで、命を持った生きもののように、
みんなの思いを、受け止めていました。
オーストラリアのアボリジニの聖地に、無事、
「生還」したときは、本当、わくわく、うれしかった
です。

そして、医学の分野でも、いくつかの画期的な
進歩がありました。
一つは、HIV、エイズウィルスの「レトロウィルス」
の感染予防に関して、劇的な効果のある新薬が
発見されました。
感染症の治療や予防の研究は、1945年、フレ
ミングの「ペニシリン」の発見やその後の抗菌剤
の研究で、すべて、解決したと思われていた時期
もありましたが、それは、大きな幻想でした。
ウィルス、中でも、レトロウィルスのワクチンは、
未だに開発されていませんし、また、BSE「狂牛病」
の原因のプリオンも、ほとんど、未解決のままです。
その「感染症」問題の中で目前に直面している問題が、
HIVの治療と予防です。
待たれているワクチンは、日本の研究者がゴールに
近づいていると言われて、久しいですし。
そういった状況下、今年、感染予防に大きな前進が
ありました。
こうして、一歩一歩、ゴールに向かっているのは、
かつて「黄熱病」の研究に、文字通り、自らの命も
捧げた野口英世の時代と、何ら変わっていません。
そして、野口は、時代の新概念であった「ウィルス」
を理解していませんでしたから、「黄熱病」は細菌
感染症と信じていたのでした。
そのような歴史上の事実も、心に刻んでおかなく
ては、なりません。

そして、医学の世界の、もう一つ、大きなニュースは
「マラリア・ワクチンの開発」です。
ラテン語で「悪い空気」というのが語源のマラリアは
ギリシャやローマ時代の文献にも記載が残っています。
ギリシャの名医、ヒポクラテスの著作にも、確か、マラ
リアで亡くなった人の体の死後変化について、詳細に
記録されていましたし。
そのマラリアの予防に有効なワクチンが、ようやく人類
の医療に、今年、登場したのです。
日本国内でも、「おこり」として、定期的な高熱と黄疸が、
江戸時代の記録として、残されていますが、現在、日本
国内では、他の感染症と比較して、症例はありません。
ただし、インド亜大陸や東南アジア、アフリカでは決して
過去の病気ではありません。
時には、死に至る病なのです。

マラリアとHIV。
人類の医学史上、最も古い病気と新しい20世紀の病気。
その点、非常に、印象的な1年でした。

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