こたに医院 | 日記 | キメラのサルの赤ちゃん。

「なんだか、しんどい」「少し、休みたい」そんなときの「街の保健室」です。

Top >  日記 > キメラのサルの赤ちゃん。

こたに医院 の日記

キメラのサルの赤ちゃん。

2012.01.11


キメラ chimera って、ご存知ですか?
語源はギリシャ神話の「キマイラ」という
ライオンの頭に山羊の胴体、蛇のしっぽを
持つ怪物に由来しています。
一つの個体が、異なるいくつかの遺伝情報
の細胞からなることです。
米国・オレゴンの大学で、アカゲザルの「キメラ」
の赤ちゃんが3匹、生まれたのです。
異なる3~6個の胚細胞(受精卵)を凝集して
母親の子宮に戻すことにより、3~6個の胚由来
の赤ちゃんが生まれたのです。
本来は、別の個体として、兄弟なはずが、一匹の
個体に共存しているのです。
そのうち、一匹は、6種の胚細胞由来とされ、
チームの日本人研究者によって「ロク」と名づけ
られたとのことです。

これまで、マウスでの「キメラ」発生は確立して
いました。
白い毛のマウスと黒い毛のマウスの胚性幹細胞
(ES細胞 Embryonic stem cell)を合わせて、
白黒のぶちのマウスが生まれるのです。
ただ、今回は、より始原的な段階の「4細胞期」の
胚を用いる必要があったとのことです。
アカゲザルという、進化上、より高度な段階での
「キメラ」技術は、輝かしい成果なのです。

それにしても、この研究に、何の意味があるの
でしょう?
現在、上のES細胞や、iPS細胞(万能胚細胞)の
研究が、時代の最先端に「あります。
不妊治療を超えて、再生医療の分野でも、様々な
成果が得られています。
発生(受精卵が、細胞分裂や分化を繰り返して、
様々な組織・器官を作り出していくこと)の諸段階
での秘密を解き明かしてくれる研究が、これまで
以上に、発展しつつあるのです。
さらに、「クローン」技術では、ヒト以外の動物が
作られているのです。
ただし、短命で、その謎は未解明です。
(また、ヒトのクローンは、倫理的な問題が大きく、
成功例の公的な発表はありません。)
その「クローン」技術を、さらに、発展させ得ると
されているものが、今回の「キメラ」なのです。

けれども、ここまで来ると、一抹の不安があります。
果たして、生命の領域に、どこまで入って行って
いいのでしょうか?
20世紀の初め、原子の秘密の解明に夢中に
なった科学者たちは、素粒子論を通して「第2の
プロメテウスの火」原子力を手に入れました。
けれども、その火は、人類の力を越えて、放射能
汚染を引き起こしてしまっているのです。
そう考えると、この生命技術の果てにあるものに
どことなく、不安を感じるのは考え過ぎでしょうか?

日記一覧へ戻る

【PR】  リラクゼーションサロン ひまわり  NAM HALL(ナムホール)  熱塩加納村産米直売センター さいたま市東大宮店 米販売  タイ料理クワァヨコ  FIT-EASY福井大和田店