こたに医院 | 日記 | 宇根利枝さん。

「なんだか、しんどい」「少し、休みたい」そんなときの「街の保健室」です。

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こたに医院 の日記

宇根利枝さん。

2012.02.12


宇根利枝さんが亡くなりました。
93才でした。
宇根さんは、陸軍兵器工場の託児所の保母さん
として働いていた26才のとき、広島の原子爆弾
の爆心地から2.7キロ離れた地点で自らも被爆
しました。
そして、その10年後、山の滝のおいしい水を飲
んだとき、あの日のことを思い出したのです。
それからは「水を求めて、亡くなった原爆の被害
者に、おいしい水を飲ませてあげたい」と、あの日、
水をあげられなかったことをおわびして、魂を慰め
たいとの思いで、原爆の慰霊碑に「名水」をお供え
し始めました。
そのとき、自分のいのちの続く限り、おいしい水の
お供えを続けようと決心したとおり、50年もの間、
広島市内に120ヶ所あるという慰霊碑を、カートに
積んだ水を運び、お供えしたとのことです。

ここには、一つの思いがあります。
それも、一心に思い続けた、深く強い思い。
あの日、亡くなっていく被爆者の一人ひとりに、水を
飲ませてあげられなかった、という後悔と申し訳なさ、
それで、50年もの間、水を汲み、運び、お供えし続
けるという、心のあり方、美しさ。
誰に命じられたのでも、頼まれたのでもなく、市井の
一人のひとが、自発的に考えて、始めて、言葉通り
いのちの続くまで、続けたのです。

だから、この話は、ずっと、好きでした。
その宇根利枝さんが、亡くなったのです。
心から、ご冥福を祈ります。
そして、もう、水を運ばなくていいんですよ、って言って
あげたいです。

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